

中国に6年間スパイ容疑で拘束され、2022年10月に帰国した元日中青年交流協会理事長の鈴木英司さん。2023年7月に反スパイ法が改正された中国では、誰もが捕まる危険性があると指摘します。
然拘束された鈴木英司さん。拘束から解放まで6年間、一番つらかったのが拘束されてから逮捕までの約7カ月間に及ぶ居住監視だったといいます。トイレに行くときも見られていたと鈴木さんは振り返ります。監視と取り調べ。永遠と続くなかで切望したことがありました。
鈴木さん:
「1回だけ太陽を見せてほしいって言って太陽を見た時があったんですよ。それをもっと近づきたかったんですが、それはだめだと。太陽見たとき、太陽があったかくてねー。涙が出ました。15分間だけ。それからはもう請求しなかったです」
なぜ逮捕されたのか
日中友好のために活動してきた鈴木さん。なぜスパイ容疑で逮捕されたのでしょうか。
鈴木さん:
「具体的に言うと、日本の公安調査庁は中国が認定した、いわゆるスパイ機関ということですから。したがって、私は公安調査庁の送ったスパイであると」
スパイとして中国に来たと疑われた鈴木さん。起訴事由は、中国の外交官と北朝鮮について会話したことでした。
いつ拘束されるかわからない
鈴木さんが心配していることがあります。それが反スパイ法の改正です。
中国の国家安全省はSNSの公式アカウントに動画を投稿しています。その動画には「あなたは私を探す必要はない。私はずっといる」というメッセージが載っています。
スパイ法の改正で、あいまいだと指摘されているスパイ行為の定義が拡大され、中国政府による取り締まりのさらなる強化が懸念されています。
鈴木さん:
「いつ拘束されるかわからないという危険性はあります。いつでも引っ張ることができます。身体検査、拘束、荷物の没収もできる、飛行機の出入国も制限できるとか書いてあります。範囲が広くなって、権限が強くなりました。しかし(逮捕の)理由は明らかになりません」
5人の日本人がまだ拘束されている
鈴木さん:
「今度の反スパイ法っていうのは、ほんとに怖いんです。気を付けることも難しいんですよ。これといった対応策もない。だから重ねて言うように捕まった時にどうするかが大事なんです」
今、中国に拘束され、解放されていない日本人は、アステラス製薬の男性社員も含めて5人います。いかに解放を促していくのか。政府には、その外交手腕が求められています。