検索 メニュー

反日ムード薄まる?韓国の若者の約3割が「光復節を知らない」「日本旅行に行こうが自由」の衝撃データ

日本人学校への投石「反日」暴挙が続発 日本企業も「中国リスク」再認識を 経営者は「脱中国」を具体的行動に移せ

韓国で「反日正義」が“死に体”のウラで、またまた「最悪で最低のパフォーマンス」が…! 「在日3世」も呆れる韓国“反日左派勢力”の汚いやり口と、韓国で消えない「不安」の正体

ダークモード ライトモード

田中美蘭:韓国在住ライター

国際・中国News&Analysis

8回目の終戦記念日を迎え、今年の夏も日本の各地で祈りがささげられた。一方、韓国における8月15日とは、日本の植民地支配から解放された「光復節」という祝日であり、公休日になっている。韓国ではこの日を非常に重視し、在韓の日本人にとっては“肩身が狭くなる日”ともいわれている。しかし、昨年の政権交代で尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏が大統領に就任して以来、日韓関係の改善が急速に進み、「Z世代」と呼ばれる若者たちを中心に日本ブームに火がつき、状況は一転している。今年の光復節は、従来では考えられなかったような出来事が起こったのだ。(韓国在住ライター 田中美蘭)

文在寅政権時代から一新された「光復節」

 尹政権になって2回目の光復節を迎えた今年。尹大統領は昨年に続き、記念式典で日韓関係の改善、および北朝鮮の脅威に対抗すべくさらに米国との3カ国による連携強化について強調した。「反日」を前面に押し出していた文在寅(ムン・ジェイン)前政権時代とは対照的だった。4年前のこの時期に「NO JAPAN」が始まったことを思えば、比較にならないほど平穏になったといえる。

 また、8月15日当日は、地上波での放送も光復節に関連した特別番組が多いのが通常だったが、それも国営放送のKBSを除いて、年々減少しており、政権交代後はさらにその傾向が進んでいる。

 こうした変化は、世論調査にも意外性と驚きの結果として表れていたのである。

韓国のZ世代の4人に1人は「光復節を知らない」

 韓国で、ある世論調査の結果が注目を集めている。聯合ニュースが8月14日に記事にしているが、データコンサルティング会社が10代~60代を対象に光復節にちなんで行った調査で、「光復節の認知度」について、興味深い結果が明らかになったのである。

「光復節の意味、行事、年と日付を知っていますか?」という問いに対し、「知っている」と答えたのは回答者全体の83.4%。年代別に見ると、60代は51%が「とてもよく知っている」ともっとも高い。これに続く40~50代は32.3%、30代は26.4%、10~20代が21.9%と、年代が低くなるほど、割合も低くなるという結果だった。

 さらに注目すべきは「知らない」という回答だ。特にZ世代(1995~2009年生まれ)の回答だけを見ると「光復節」について「全く知らない」(11.2%)または「よく知らない」(15.6%)を合わせて約27%という結果になったことである。27%ということは、Z世代の4人に1人が「光復節を(よく)知らない」と答えたことになる。日本人的には、そんなに高い数字ではないと思うかもしれない。それでもこの結果に驚いたのには理由がある。

 韓国が、日本よりもはるかに歴史教育に力を入れている国なのはご存じのはずだ。幼児期から折に触れて歴史教育を行い、しかも、その内容は徹底的に反日である。日本から解放された日である「光復節」は近現代史の輝かしい大きなトピックだ。にもかかわらず3割近い若者が「光復節を知らない、よく分からない」と回答したということは、韓国人的には非常に衝撃的なことなのだ。

韓国では光復節をはじめ、公休日には国旗の掲揚が奨励されている。一軒家であれば玄関先に、アパート(日本の大型マンション)にはベランダに、国旗を掲揚できるフックが付けられている。各家庭に国旗があることが前提になっているのも日本から見れば驚きであるが、韓国でも家庭での国旗の掲揚は減少していて、今回の光復節でもほぼ数える程度の掲揚しか確認できなかった。こうしたところにも「光復節」への認識の変化を感じる。

 そして前項の「光復節をについてよく知らない」に加えて、もう一つ「光復節当日の過ごし方」についての項目も注目を集めていた。「(光復節に)日本に旅行に行こうが個人の自由である」という回答が約29.5%に上り、世代の内訳ではZ世代が一番多かった(32.6%)のだ。

愛国者の模範を求められる芸能人も
「日本旅行を楽しむことも自由」になりつつある

 そんな中で、女優のコ・ソヨン(1972年生まれ、50歳)が家族旅行でこの時期に日本に訪れた様子をSNSにアップしたことも目を引いた。コ・ソヨンの夫は、元祖韓流スターのチャン・ドンゴンで、韓国ではおしどり夫婦としても知られている。

 最近の日本ブームの波に乗って、SNSで日本旅行の様子を投稿する韓国人が増えている。彼女の投稿もその意味では珍しくないのだが、今回注目が集まったのは、旅行の時期が光復節と重なっていたからだ。指摘の声や報道を受け、SNS上で「時期に対する配慮が足りなかった」と謝罪のコメントを発表した。

 韓国の場合、特に芸能人は「愛国者」の模範であることが求められ、それが暗黙の了解のようになっているのを感じる。例えば俳優のヒョンビン(1982年生まれ、40歳)は、兵役で自ら海兵隊を志願し、厳しい任務をまっとうし、「愛国者の鑑」のように称賛された上、好感度がさらに上がったことは日本でも知られている。

 他の芸能人も愛国者としての振る舞いが求められるのは同じだ。光復節の日の芸能人の投稿には韓国の国旗である「太極旗」がアップされるなど、国への忠誠を示すようなものが多いのはこうした事情による。

 ただでさえ、現代はSNSなどを通じて情報が瞬く間に広がり、発言が一部切り取られて本来の主旨とは違った形で伝えられることも多い。「愛国者」であることが当然のように、常に世間からその言動を注視されている芸能人たちも気苦労やいかにと思う。

815日の韓国発日本行き飛行機は満席だった

 実際にコ・ソヨンのSNSを見てみると、報道にあるような“批判コメントが殺到した”というほどの印象ではなく、芸能人であるがゆえの有名税によるとばっちりのようにも感じる。

 光復節当日に日本に行った友人に聞いてみると、飛行機は満席だったそうだ。国民の多くも、実はそこまでコ・ソヨンがこの時期に日本に行ったことについて批判的に考えているとは思えず、前述のアンケートにあったように「光復節に日本へ旅行に行ったとしても気にしない」というのが、もはや韓国の若者の本音なのかもしれない。

 やはり、個人主義がZ世代を中心に浸透しつつあることを見ても、「愛国心や光復節の過ごし方は誰かに強制されたり、指図されたりするものではない」という姿勢が感じられ、今後も広がっていくものと思われる。最近は日韓関係が改善しつつあるが、まだまだ油断はできない。仮に次の大統領選挙で再び左派政権が勝利すれば、「共に民主党」や派生の市民団体が、再び文前政権時代の頃のように日韓関係を破壊させようとすることは容易に想像できる。

 ただ、「日本に旅行したい」「日本が好きだ」という欲求や思いを政府に否定され、強要されることにうんざりしている人は多いし、前政権の締め付けも結局は長くは続かなかったことを考えれば、反日をネタに国民の支持を得ることは既に限界なのではとも考えられる。韓国国民には、このことを忘れずに、来春の総選挙、さらには4年後の大統領選挙に民意を反映させてほしいものである。

関連した記事